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Appleの創業者スティーブ・ジョブズが、毎日同じ黒のタートルネックとジーンズを着ていたことは有名な話です。Meta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグも同様に、グレーのTシャツばかり着ています。
彼らはファッションに無頓着だったのでしょうか? いいえ、違います。彼らは、世界を変えるような重要な決断のために「脳のエネルギー」を節約していたのです。
現代人は情報過多の中で生きており、知らず知らずのうちに脳が疲弊する「決断疲れ(Decision Fatigue)」に陥っています。今回は、脳科学の視点から、仕事のパフォーマンスを最大化するハック術を解説します。
脳のエネルギー「ウィルパワー」は有限な資源
ケンブリッジ大学の研究によると、人は1日に大小合わせて約35,000回もの決断をしていると言われています。「朝何時に起きるか」「何を着るか」「ランチは何にするか」「このメールにどう返信するか」…。
これらの決断には、脳の前頭葉にある「意志力(ウィルパワー)」というエネルギーが使われます。重要なのは、このウィルパワーは体力と同じで、使えば使うほど消耗する「有限の資源」だということです。
「夕方のミス」は脳のガス欠サイン
朝は満タンだったウィルパワーも、日々の細かい選択で徐々にすり減っていきます。そして夕方になり、エネルギーが枯渇すると、脳は「思考停止モード」に入ります。
- 重要な決定を先延ばしにする
- 衝動的な判断をしてしまう(衝動買いや暴飲暴食もこれ)
- 「いつも通りでいいや」という現状維持バイアスがかかる
夕方に重要な会議を設定したり、大きな買い物の決断をしたりするのは、脳科学的に見て避けるべきなのです。

決断疲れを防ぐ「3つの最強ハック術」
限られた脳のエネルギーを、本当に重要な仕事に使うための具体的な方法を紹介します。
ハック1:ルーティン化(自動化)する
ジョブズの戦略がこれです。「どうでもいい決断」を生活から排除します。
- 服を固定する: 平日の仕事着はパターン化してしまう。
- 朝食を固定する: 毎朝メニューを考えるエネルギーを節約。
- 通勤ルートを固定する: 何も考えずに会社に着くようにする。
これだけで、朝の貴重なウィルパワーを大幅に温存できます。

ハック2:重要な仕事は「午前中」に終わらせる
脳が最もフレッシュでエネルギーに満ちているのは午前中です。このゴールデンタイムを、メールチェックや簡単な作業で浪費してはいけません。
「今日絶対に終わらせたい最も重いタスク」を朝イチで片付ける。これが鉄則です。
ハック3:選択肢を意図的に減らす
心理学には「決定回避の法則(ジャムの法則)」というものがあります。選択肢が多すぎると、人は選ぶことにストレスを感じ、結果的に何も選べなくなります。
デスクの上を片付けて視覚的なノイズを減らす、使用するツールを厳選する、など「選ぶ必要のない環境」を作ることが大切です。
まとめ:脳のエネルギーを「投資」しよう
あなたの脳のエネルギーは、今日のランチを選ぶためではなく、あなたの未来を変える重要な決断のためにあるはずです。
まずは明日の朝、「着ていく服」と「朝食」を今夜のうちに決めておくことから始めてみませんか? その小さな一歩が、明日の生産性を劇的に変えるかもしれません。
参考・引用元・関連書籍:
- ロイ・F・バウマイスター、ジョン・ティアニー著『WILLPOWER 意志力の科学』(インターシフト)
- バリー・シュワルツ著『なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴』(日経ビジネス人文庫)