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「いい人がいない」「全然出会いがない」
口癖のようにそう嘆いている人がいますが、脳科学的に言えば、それは「出会いがない」のではなく、「見えていない」だけかもしれません。
前回解説した脳のフィルターシステム「RAS(脳幹網様体賦活系)」は、仕事だけでなく、恋愛においても強力な威力を発揮します。今回は、脳の検索設定を書き換えて、「運命」を科学的に引き寄せる恋愛ハックをご紹介します。
恋の始まりは「カラーバス効果」から

RASには「自分が意識している情報を集める」という機能があります。これを心理学では「カラーバス効果(色を浴びる)」と呼びます。
「今日のラッキーカラーは赤」と言われると、急に街中の赤いポストや服が目につくようになりますよね? 恋愛もこれと同じです。
「欠点」を探すフィルターになっていませんか?
「どうせ私なんて」「いい男(女)は残っていない」……そんなネガティブな検索ワードをRASに入力していませんか?
そうすると脳は優秀な検索エンジンのように、異性の「嫌な部分」「合わない部分」ばかりを瞬時に検索し、目の前に突きつけます。結果、「ほら、やっぱりいい人はいない」という現実が完成してしまうのです。
好きな人の「RAS(関心)」に侵入する方法
逆に、意中の相手を振り向かせたいなら、相手のRASフィルターを突破し、「その他大勢」から「気になる存在」に昇格する必要があります。

1. 「カクテルパーティー効果」を使う
RASは「自分の名前」を最優先事項として処理します。会話の中で、意識的に「相手の名前」を呼んでください [1]。
❌「ねえ、これ見て」
⭕「〇〇さん、これ見て」
名前を呼ばれるたびに、相手のRASは強制的にあなたを「重要な情報源」として認識し始めます。
2. 「共通点」でタグ付けする
RASは「自分に関係がある情報」を通します。「出身地が同じ」「趣味が同じ」「笑いのツボが同じ」。どんな些細なことでも構いません。共通点を強調することで、相手の脳内であなたに「関連性の高い重要人物」というタグが付与されます。
【警告】「脈なし」と思い込むと、本当に終わる
デート中、相手がスマホを見たり、ふと黙り込んだりした時。「あ、つまらないんだな」「私に興味ないんだ」と不安になりませんか?
ここでRASの「確証バイアス」が発動すると危険です。「嫌われている」という思い込みを証明するために、脳は「あくびをした」「目が合わなかった」という証拠集めを始めてしまいます。
心理学ではこれを「拒絶感受性」と呼び、感受性が高い人ほど、相手の何気ない行動を「拒絶」と誤解し、自ら関係を壊してしまう傾向があることが分かっています [2]。

本当は単に「緊張していただけ」かもしれないし、「仕事の連絡が来て焦っていただけ」かもしれません。
「きっと楽しんでくれている」とRASの設定をポジティブに保つことで、相手の笑顔や好意的なサインを見逃さず、自信を持って振る舞えるようになります。
まとめ:恋の主導権は「脳」が握っている
運命の出会いは、空から降ってくるものではなく、あなたのRASが選び取った結果です。
まずは今日から、「素敵な人に出会う準備はできている」「私は愛される価値がある」というキーワードを脳に入力しておきましょう。そうすれば、いつもの景色の中に、見落としていた「運命の糸」がキラリと光って見えるはずです。
📚 参考文献・科学的根拠
- [1] Cherry, E. C. (1953). Some experiments on the recognition of speech, with one and with two ears. The Journal of the Acoustical Society of America, 25(5), 975-979.(カクテルパーティー効果の原著論文)
- [2] Downey, G., & Feldman, S. I. (1996). Implications of rejection sensitivity for intimate relationships. Journal of Personality and Social Psychology, 70(6), 1327–1343.(拒絶感受性と対人関係への影響に関する研究)