目次
  1. あなたはどっち? マキシマイザーとサティスファイサー
  2. ① マキシマイザー(最大化する人)
  3. ② サティスファイサー(満足する人)
  4. なぜ「最高」を求めると不幸になるのか?
  5. 幸福になるための戦略:「80点」で即決せよ
  6. ① 探す前に「基準」を決める
  7. ② 「Good Enough(十分良い)」を口癖にする
  8. まとめ:足るを知る者は、決断が速い

Netflixで観る映画を探していたら、予告編ばかり見て1時間が過ぎてしまった。
新しい家電を買うためにレビューサイトを比較しすぎて、結局どれが良いのか分からなくなった。

こんな経験はありませんか?
現代は「選択肢」が無限にある時代です。
私たちは無意識のうちに「絶対に失敗したくない」「一番いいもの(ベスト)を選びたい」という呪いにかかっています。

しかし、心理学の研究は残酷な真実を突きつけます。
「最高を追求する人は、客観的な結果が良くても、主観的な幸福度は低い」

今回は、決断の迷路から脱出し、短時間で「正解」を選び取るための思考法「サティスファイサー(満足化戦略)」について解説します。

あなたはどっち? マキシマイザーとサティスファイサー

心理学者のバリー・シュワルツは、意思決定のスタイルで人を2種類に分けました。

① マキシマイザー(最大化する人)

常に「すべての選択肢」を検討し、「最高の一手」を選ぼうとする完璧主義者。
(例:家電を買う時、全てのメーカーのスペックと価格コムの全レビューを比較しないと気が済まない)

② サティスファイサー(満足する人)

自分の中で「合格ライン」を決め、それを超えたら即決する人。
(例:家電を買う時、「この機能があって予算内ならOK」と決め、最初に見つけた商品をパッと買う)

一見、マキシマイザーの方が賢い買い物をしているように見えます。しかし、研究データによると、マキシマイザーはサティスファイサーに比べて「幸福度が低く、後悔しやすく、鬱になりやすい」ことが分かっています。

なぜ「最高」を求めると不幸になるのか?

理由はシンプルで、「比較対象が多すぎるから」です。

100個の選択肢から「最高の1個」を選ぼうとすると、選ばなかった99個の「良い点」が気になり始めます。
「あっちの方が安かったかも」「こっちの方がデザインが良かったかも」
これを「機会費用の増大」と呼びます。

結果として、たとえ素晴らしい商品を手に入れても、「もっと良いものがあったはずだ」という疑念が消えず、満足感が目減りしてしまうのです。
これを心理学では「選択のパラドックス」と言います。選択肢が増えれば増えるほど、私たちは自由になるのではなく、選べなくなり、不幸になるのです。

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幸福になるための戦略:「80点」で即決せよ

では、どうすればこの罠から抜け出せるのか?
答えは、「マキシマイザー(最高追求)」をやめて、「サティスファイサー(合格点追求)」になることです。

そのための具体的なハックは以下の2つです。

① 探す前に「基準」を決める

商品やサービスを探し始める前に、「これだけは外せない」という条件を3つだけ書き出します。
そして、その条件を満たすものに出会ったら、それ以上探すのをやめて即決します。
「もっと探せばもっと良いものがあるかも」という悪魔の囁きを無視する勇気を持ってください。

② 「Good Enough(十分良い)」を口癖にする

100点満点を目指さないでください。80点で十分です。
残りの20点を埋めるために費やす膨大な時間と労力を、別の楽しいこと(映画を見たり、家族と過ごしたり)に使った方が、人生のトータルスコアは高くなります。

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まとめ:足るを知る者は、決断が速い

古代中国の哲学者、老子は「足るを知る者は富む(知足者富)」という言葉を残しました。
これは単に「我慢せよ」という意味ではありません。「自分の内側に『満足の基準』を持つ者こそが、精神的に豊かである」という真理です。

常に「最高」を求め続けるマキシマイザーは、いつまでも外部の選択肢に振り回され、心が満たされることがありません。
一方で、「80点(足る)」を知っているサティスファイサーは、自分の価値観を信じ、迷いというコストを瞬時に断ち切ることができます。

「ベスト」を探し続けるのは、不安の表れ。
「ベター(これで十分)」を選べるのは、自信の表れです。

今日のランチから練習してみましょう。
メニューを見て直感で「これでいい」と決めたら、もう他のページは見ない。
その小さな「足るを知る」勇気の積み重ねが、あなたの人生をより身軽で、知的なものに変えてくれるはずです。

📚 参考文献・引用元

  • ・Barry Schwartz (2004). The Paradox of Choice: Why More Is Less. Harper Perennial.
  • ・Simon, H. A. (1956). Rational choice and the structure of the environment. Psychological Review.
  • ・Iyengar, S. S., & Lepper, M. R. (2000). When choice is demotivating. Journal of Personality and Social Psychology.

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