脂質は、炭水化物、たんぱく質と並ぶ三大栄養素の一つです。1グラムあたり9キロカロリーと、他の栄養素(約4キロカロリー)に比べて最も効率よくエネルギーを得ることができます [1]。
化学的には、水に溶けずにエーテルやクロロホルムなどの有機溶媒に溶ける物質で、炭素、水素、酸素で構成されています。
脂質の主成分「脂肪酸」の分類
脂質を構成している「脂肪酸」は、その構造や性質によって大きく分類されます。特に体内で合成できない「必須脂肪酸」は食事からの摂取が不可欠です [2]。

主な分類のポイント
- 飽和脂肪酸:肉や乳製品の脂などに多く、常温で個体。摂りすぎると血液中の中性脂肪やコレステロールを増加させる傾向があります。
- 不飽和脂肪酸:植物や魚の油などに多く、常温で液体。血液中の中性脂肪やコレステロールを低下させる働きがあります。
- 特に多価不飽和脂肪酸(n-6系、n-3系)は体内で合成できないため「必須脂肪酸」と呼ばれます。
体における脂質の重要な働き
脂質は、単なるエネルギー源というだけでなく、私たちの体にとって欠かせない多様な役割を担っています。
- 重要なエネルギー源となる
- 細胞膜の主要な構成成分となる
- 各種ホルモンの材料となる
- 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を助ける
- 皮下脂肪として体温を保持する
- 内臓を衝撃から保護するクッションとなる
摂取の注意点:過不足によるリスク
脂質は不可欠な栄養素ですが、摂り過ぎると肥満や生活習慣病の原因になるため注意が必要です。一方で、極端な不足も健康を損なうリスクがあります。
脂質が不足すると…
食事量が少なくなりがちな高齢者などで脂質が不足すると、エネルギー不足で疲れやすくなったり、体の抵抗力が低下したりする可能性があります。また、脂溶性ビタミンが吸収されにくくなり、ビタミン欠乏症になるリスクも高まります。
脂質を摂りすぎると…
肥満傾向の人は、特に注意が必要です。脂質の過剰摂取は、動脈硬化や脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病の原因となります [3]。動物性脂肪に多い「飽和脂肪酸」の摂りすぎに注意し、魚や植物油に多い「不飽和脂肪酸」を上手に取り入れるなど、質を意識した摂取が大切です。
📚 参考文献・科学的根拠
- [1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「脂肪 / 脂質」
- [2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「不飽和脂肪酸」:必須脂肪酸の分類と働きについて
- [3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」:脂質摂取の目標量と生活習慣病予防について